貯蓄・資産運用

なぜ私たちは長期で勝てないのか?80%の投資家が陥る罠とは!?

みなさまこんにちは、いちまるです(*’▽’)
「長期投資が資産形成の王道である」
この言葉は多くの投資書籍やセミナーで語られ、金融のプロフェッショナルも口を揃えて推奨しています。
データを見れば明らかなように、市場は短期的には乱高下するものの、長期的には右肩上がりの成長を遂げてきました。
それにもかかわらず、多くの個人投資家は長期投資の恩恵を受けられないまま、短期的な市場変動に一喜一憂し、結果的に市場平均を大きく下回るパフォーマンスに甘んじています。。。

金融教育の普及と情報へのアクセスが容易になった現代においても、なぜ私たちは合理的な投資行動を取れないのか??
今回は、長期投資を妨げる心理的・実践的障壁を科学的知見から解明し、それらを克服するための具体的方法をわかりやすくまとめてみました♪

 

数字で見る長期投資と短期投資の差

まずは、データから長期投資の威力を確認しましょう。

投資期間によるリターンの変化

S&P500指数の過去の実績を見ると、投資期間と成功確率の関係は明確です。

投資期間 プラスリターンとなる確率 年平均リターン
1年間 約73% 約10%(変動大)
5年間 約87% 約8.7%
10年間 約94% 約8.3%
20年間 約99% 約7.8%

出典:S&P500指数の1928年〜2023年のデータに基づく分析

このデータから分かることは、投資期間を長くするほど、プラスのリターンを得られる確率が高まるということです!
20年という長期で見れば、ほぼ100%の確率でプラスのリターンとなっています。

個人投資家の現実

一方で、実際の個人投資家のパフォーマンスはどうでしょうか?
米投資情報会社DALBARの調査によると、過去30年間において、平均的な個人投資家の年間リターンは市場平均を大きく下回っています。

対象 年平均リターン(1993-2023)
S&P500指数 約10.5%
平均的な株式投資家 約4.7%

この差は、投資家が市場のタイミングを測ろうとして失敗した結果、つまり「高く買って安く売る」行動を繰り返した結果と言われています。。。
大きな利益を得ようと頑張ったにも関わらず、市場に身を任せていたほうが良い結果になるとは…悲しいところです(´・ω・)

 

長期投資を妨げる心理的バイアス

なぜ私たちは理性的に行動できないのでしょうか。
その答えは人間の心理にあります!!

損失回避バイアス:利益より損失に2.5倍敏感

ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーによる研究では、人間は利益を得る喜びよりも、同額の損失を被る痛みを約2.5倍強く感じることが示されています。

例えば…

  • 10万円の利益:X単位の喜び
  • 10万円の損失:2.5X単位の痛み

このバイアスにより、私たちは…

  1. 少額でも目の前の損失を避けようとする
  2. 損失が発生すると感情的になり、冷静な判断ができなくなる
  3. 短期的な相場変動に過剰反応する

実際の例として、10%の下落が起きた時の投資家心理を考えてみましょう!

  • 100万円が90万円になる → 10万円の「損失」
  • この損失が与える心理的ダメージ:25万円分の利益が相殺されるほどの心理的苦痛

この強烈な痛みを避けるため、多くの投資家は株価の下落局面で感情的に売却してしまい、その後の回復局面に乗り遅れるという悪循環に陥ります。

即時満足バイアス

人間は本来、今すぐの小さな報酬を、将来のより大きな報酬よりも優先する傾向があります。これは進化の過程で培われた特性ですが、長期投資においては大きな障壁となります。

たとえば、「今日の確実な1万円」と「10年後の3万円」を選ぶなら、理論上は後者を選ぶべきですが、多くの人は目の前の1万円を選んでしまいます。
投資においても同様に、長期的には大きなリターンが期待できるとわかっていても、目先の小さな利益確定の誘惑に負けてしまうのです。

FOMO(Fear Of Missing Out)

SNSの普及により、「他人の成功を見て焦る」傾向がより強くなっています。
友人が仮想通貨や個別株で短期間に大きな利益を上げたという話を聞くと、自分の堅実な長期投資戦略に疑問を持ち始めます。

この「乗り遅れ恐怖」が、多くの投資家を冷静な判断から遠ざけ、流行の投資対象に飛びつかせる原因となっています。

 

外部環境による阻害要因

私たちの心理的バイアスに加え、外部環境も長期投資を難しくしています。

メディアの短期志向

経済ニュースやファイナンス記事の多くは、日々の株価変動や短期的な予測に焦点を当てています。
「今買うべき銘柄」「今週の相場展望」といった見出しが日常的に踊り、投資家の視線を短期的な動きに集中させます。

コンテンツ消費社会において、長期投資の「退屈な」成功談よりも、短期的な勝ち負けのドラマチックなストーリーの方が注目を集めるからです。

日本特有の預金志向

日本人投資家は特に「預金志向」が強いと言われています。

国・地域 家計金融資産に占める現預金の割合
日本 約54%
米国 約13%
ユーロ圏 約34%

出典:日本銀行「資金循環の日米欧比較」2023年データ

この背景には、バブル崩壊後の「失われた30年」による株式市場への不信感や、デフレ経済下での「現金の価値」に対する認識があります。
このような文化的背景も、日本人が長期投資を実践する上での障壁となっています!

 

行動経済学から見る投資家心理

より深く投資家心理を理解するために、行動経済学の知見を見てみましょう。

プロスペクト理論と投資判断

カーネマンとトヴェルスキーのプロスペクト理論によれば、人間の意思決定は「利得領域」と「損失領域」で非対称になります。

  • 利得領域:リスク回避的(確実な小さな利益 > 不確実な大きな利益)
  • 損失領域:リスク選好的(不確実な大きな損失 > 確実な小さな損失)

この特性が、利益が出ている銘柄は早めに売却し(小さな確実な利益)、損失が出ている銘柄はいつまでも持ち続ける(大きな損失を避けたい)という、投資における典型的な失敗行動につながります。

アンカリング効果

私たちは最初に接した数字や情報に強く影響される「アンカリング効果」の影響も受けています。
投資においては、購入価格が強力なアンカーとなり、その価格を基準に判断してしまいます。

例えば、3,000円で購入した株が2,000円に下がった場合、客観的な企業価値や将来性よりも「1,000円の損失」という観点からの判断に偏りがちです。
これにより、本来売却すべき時に売却できなかったり、買い増すべき時に躊躇したりする原因となります。

サンクコスト効果

すでに投じた資金や時間に対する執着も、合理的な投資判断を妨げます。
「これだけ損しているのだから、回復するまで待とう」という考えは、新たな投資機会の損失につながる可能性があります。

 

長期投資に成功する人の共通点

では、これらの心理的罠を乗り越え、長期投資で成功している人々は何が違うのでしょうか。

感情に左右されない仕組み作り

成功している長期投資家は、自分自身の感情や心理的バイアスを理解した上で、それらに左右されないシステムを構築しています。

  • 投資ルールの文書化:市場が大きく変動した際の対応を事前に決めておく
  • ポートフォリオの確認頻度を制限:毎日のチェックを避け、四半期や半年に1度など
  • 自動積立投資:感情を排除した定期的な投資

情報との向き合い方

成功している投資家は、情報の取捨選択にも長けています!

  • ノイズとシグナルの区別:日々の市場ニュースの多くは「ノイズ」であることを理解
  • 長期的視点の情報源:短期的な市場予測よりも、経済の構造的変化や産業動向に注目
  • エコーチェンバーからの脱却:自分の考えを強化するような情報だけでなく、反対の意見にも触れる

 

実践的な長期投資戦略

これらの知見を踏まえ、私たち一般投資家はどのように長期投資を実践すべきでしょうか?考えてみましょう♪

自分自身のバイアスを認識する

まずは自分自身の投資行動を振り返り、どのような心理的バイアスに影響されやすいかを把握することが重要です。以下のような質問で自己分析してみましょう。

  • 相場が急落した時、どのような感情が生じ、どのような行動を取りましたか?
  • 利益確定の判断基準は何ですか?それは論理的ですか、感情的ですか?
  • 他人の投資成功談を聞いた時、自分の投資戦略に疑問を持ちましたか?

投資計画の文書化

感情に流されないために、投資計画を文書化しましょう。特に以下の点を明確にしておくことが重要です!!

  • 投資の目的と期間
  • 資産配分の方針と調整ルール
  • 市場が20%以上下落した場合の対応策
  • ポートフォリオの確認頻度とリバランスのタイミング

市場暴落時の対応計画

市場の大暴落は、感情的になりやすく最も判断を誤りやすいタイミングです。そのため、冷静な時に「暴落時の対応計画」を作成しておくことが有効です。

例えば下記のような感じですね(*’▽’)

  • 20%の下落:追加投資の検討
  • 30%の下落:月々の投資額を1.5倍に増やす
  • 50%の下落:臨時ボーナス投資を実行

このような具体的な計画があれば、恐怖に支配される市場暴落時でも、感情ではなく計画に従った行動が取れるようになります。

 

まとめ

長期投資の障壁は、主に私たち自身の心理にあります。特に損失に対して2.5倍敏感に反応する「損失回避バイアス」は、合理的な投資行動を妨げる最大の要因と言えるでしょう。

しかし、これらの心理的バイアスは人間である以上、完全に排除することはできません。重要なのは、自分自身のバイアスを理解した上で、それに左右されない投資の仕組みを作ることです。

具体的には…

  1. 自動積立投資の活用
  2. 投資計画の文書化
  3. 情報との適切な距離感
  4. 市場暴落時の対応計画

これらの対策を講じることで、80%の投資家が陥る心理的罠を避け、真の長期投資家として市場の成長を享受することができるでしょう。

最後に、長期投資の成功は知識や情報よりも、感情のコントロールにかかっていることを忘れないでください。「投資の敵は、市場でも経済でもなく、鏡の中にいる自分自身である」という格言は、まさにこのことを表しています。