みなさまこんにちは、いちまるです(*’▽’)
「株価大暴落!」
「100年に一度の危機!」
「XXX億円の損失」
こんな見出しがニュースを賑わすとき、多くの投資家はパニックに陥ります。
保有株の急落に胃が痛くなり、さらなる下落を恐れて売却を急ぐ人も少なくありません。
未経験の新社会人の方なら、「こんな怖い市場に資産を預けるなんて無理だ」と感じるかもしれません。
しかし、不思議なことに、一部の投資家たちは暴落の報道を見ながら静かに微笑んでいます。
彼らは単に強い精神力を持っているわけではなく、「暴落が自分の味方になる」という投資の数学的真実を理解しているのです。
今回は、なぜ賢明な積立投資家が市場パニックを恐れるどころか、むしろ歓迎するのか、その理由を投資初心者の方でも理解できるようにわかりやすくまとめてみました♪
暴落が起きるとき、大多数の投資家は何をするか

まず、市場が大きく下落するとき、一般的な投資家がどのように反応するのかを見てみましょう。
パニック売りの実態
米国の投資調査会社DALBARの長期調査によると、典型的な個人投資家は市場の大幅下落時に投資資金を引き揚げる傾向があります。例えば2008年のリーマンショック時には、10月だけで米国の投資家が株式ファンドから引き出した資金は720億ドル(当時のレートで約7兆円)にも及びました。
多くの方がとる行動は、次のようなものがあげられます!
- 保有資産の価値が急落し、恐怖を感じる
- 「さらに下がる前に売らなくては」と考える
- 損失を確定して現金化する
- 市場が「安全になった」と感じるまで再投資を控える
- 結果、暴落後の急速な回復局面に乗り遅れる
これは当然の心理反応ですが、長期的な資産形成という観点からは逆効果となることが多いのです。
メディアの増幅効果
暴落時にはメディアも恐怖心を煽る方向に作用します。「過去最大の下落幅」「専門家も警戒感」といった見出しが踊り、冷静な判断を難しくします。
SNSでも「大損した」「全部売った」という投稿が目立ち、集団心理によって不安が増幅されがちです。新社会人の方々は特に、こうした情報の波に飲み込まれやすいので注意が必要です!!
ドル・コスト平均法の基本
では、なぜ積立投資家は暴落を恐れないのでしょうか?
その秘密を理解するために、まずは「ドル・コスト平均法」と呼ばれる積立投資の基本について確認しましょう(*’▽’)
積立投資とは?
積立投資(ドル・コスト平均法)とは、投資金額を一定にして、定期的に投資を続ける方法です。例えば、毎月3万円を決まった日に投資信託や株式に投資し続けるというものです。
これは多くの新社会人の方が始める「つみたてNISA」や「iDeCo」の基本的な仕組みでもあります。
なぜ積立投資が効果的なのか
積立投資の最大の利点は、市場のタイミングを計る必要がないことです。投資のプロでさえ、相場の上げ下げを正確に予測することは極めて困難です。積立投資であれば、市場が高いときも安いときも、淡々と投資を続けるだけでよいのです。
さらに、積立投資には以下のような特徴があります!
- 感情に左右されにくい: 「今が買い時か?」という迷いが生じにくい
- 自動化できる: 給料日に自動引き落としを設定するなど、継続しやすい仕組みを作れる
- 分散投資できる: 時間分散することで、一時的な高値掴みのリスクを軽減できる
これらの特徴により、多くの初心者投資家にとって最もシンプルで実行しやすい投資手法となっています。
暴落を友達に変える「数学の魔法」

ここからが本題です。なぜ積立投資家は暴落を「友達」と呼べるのでしょうか?その理由は、積立投資特有の「数学の魔法」にあります。
具体例で理解する積立投資の威力
以下の簡単な例で考えてみましょう。
毎月1万円を投資するAさんがいるとします。投資対象の価格変動は次のようなものだったとしましょう。
月 | 投資金額 | 単価 | 購入数量 |
---|---|---|---|
1月 | 10,000円 | 1,000円 | 10単位 |
2月 | 10,000円 | 800円 | 12.5単位 |
3月 | 10,000円 | 500円 | 20単位 |
4月 | 10,000円 | 700円 | 14.3単位 |
5月 | 10,000円 | 1,000円 | 10単位 |
6月 | 10,000円 | 1,200円 | 8.3単位 |
合計 | 60,000円 | – | 75.1単位 |
この例では、Aさんは6ヶ月間で合計60,000円を投資し、75.1単位を購入しました。平均取得単価は60,000円÷75.1単位=約799円となります。
ここで注目すべき点は、価格が下がったときほど多くの単位を購入できていることです。3月には価格が最も安い500円になり、同じ1万円の投資で20単位も購入できました。一方、価格が高い6月には8.3単位しか買えていません。
結果として、単純な平均価格((1000+800+500+700+1000+1200)÷6=約867円)よりも、実際の平均取得単価(799円)の方が低くなっています。これが積立投資の「数学の魔法」です。
ボラティリティ・ポンピング効果
この現象は「ボラティリティ・ポンピング」または「リバランシング・ボーナス」と呼ばれることもあります。価格変動(ボラティリティ)が大きいほど、同じ金額で平均してより多くの資産を購入できるという効果です。
つまり、価格が安定しているよりも、上下に大きく変動する方が、積立投資家にとっては有利なのです。特に大きな下落(暴落)があると、多くの単位を安く買えるため、長期的なリターンが向上します。
実際の市場データでの検証
理論だけでなく、過去の実際の市場データを使って検証してみましょう。
例えば、リーマンショック(2008年9月〜2009年3月)の期間中に日経平均株価に毎月5万円を積立投資し続けた場合と、同じ合計金額を一括で投資した場合を比較してみましょう。
方法 | 投資総額 | 2023年末の評価額 | 年平均リターン |
---|---|---|---|
毎月5万円積立 | 350万円 | 約1,120万円 | 約8.7% |
一括投資(2008年9月) | 350万円 | 約910万円 | 約7.1% |
この例からわかるように、暴落期に積立投資を続けることで、一括投資よりも良い結果を得られる可能性が高いのです。
反直感的なパラドックス:市場が下がるほど将来リターンは高まる
「暴落=悪いこと」というのは、短期的な視点では確かに正しいかもしれません。しかし、長期積立投資家にとっては、まったく逆の発想が成り立ちます。
投資の本質を理解する
投資の本質は「株を買う」ことではなく、「将来のキャッシュフローの権利を買う」ことです。つまり、企業の将来の利益や配当に対する請求権を購入しているのです。
例えば、年間100円の配当が見込める株を1,000円で買うのと、同じ株を2,000円で買うのでは、前者の方が配当利回りが高くなります(10%対5%)。
市場全体が暴落すると、多くの優良企業の株価も一時的に下がります。しかし、その企業の長期的な稼ぐ力(将来のキャッシュフロー)は必ずしも低下しているわけではありません。つまり、暴落時には「割安な価格で将来のキャッシュフローを買える」チャンスが訪れるのです。
積立投資家の視点転換
新社会人の方は特に、次のような視点転換が重要です~
- 暴落はセール期間だと考える: 好きなブランドの服が半額になったら喜ぶのと同じように、投資対象が「割引価格」で買えると考える
- 長期で考える: 来週や来月の価格変動ではなく、10年、20年先の資産形成を考える
- 購入単位数に注目する: 価格の上下よりも、「同じお金でどれだけ多くの単位を買えるか」に注目する
この視点転換ができれば、ニュースで「株価大暴落」と報じられても、「今月はたくさん買えるぞ!」とポジティブに捉えられるようになります。
積立投資家の「暴落活用戦略」

暴落を味方につける積立投資の基本を理解したところで、具体的にどのように暴落を活用すればよいのかを見ていきましょう。
基本戦略:淡々と続ける
最も基本的な戦略は、市場環境に関わらず淡々と積立を続けることです。これだけでも、先ほど説明した「数学の魔法」の恩恵を受けられます。
給料から自動的に一定額を投資に回す仕組みを作っておけば、感情に左右されることなく実行できるでしょう。
応用戦略:暴落時に投資額を増やす
余裕がある場合は、市場が大きく下落したときにいつもより多めに投資する戦略も効果的です。例えば…
- 平常時:毎月3万円の積立
- 市場が20%下落:毎月4万円に増額
- 市場が30%下落:毎月5万円に増額
- 市場が40%以上下落:ボーナスから10万円追加投資
このような「暴落時増額ルール」を事前に決めておくと、感情に流されずに済みます。
ただし、重要なのは、増額分も「長期投資するお金」であることです。数年以内に必要になるお金を投入するのは避けましょう。
心理的障壁を乗り越えるコツ
理屈ではわかっていても、実際に大暴落を目の当たりにすると恐怖を感じるのは自然なことです。以下のようなコツを覚えておくと良いでしょう。
- 投資金額のチェック頻度を減らす: 毎日チェックせず、月1回程度に
- 単位数の増加に注目する: 価格の下落ではなく、購入できる単位数の増加を喜ぶ
- 過去の暴落からの回復事例を学ぶ: 歴史的に見れば、市場は必ず回復している
- 「今回は違う」という言葉を疑う: どんな暴落でも「今回は回復しない」という声が出るが、長期的には回復してきた
実践事例:過去の大暴落における積立投資のパフォーマンス
実際の過去データを使って、暴落期に積立投資を続けることの威力を検証してみましょう。
リーマンショック時の積立投資
2007年10月から2010年9月の3年間、米国S&P500指数に毎月100ドルを積立投資したケースを考えてみましょう。
積立の状況 | 投資総額 | 2023年末の評価額 | リターン |
---|---|---|---|
3年間継続 | 3,600ドル | 約12,700ドル | 約253% |
暴落時に中断 | 2,400ドル | 約5,900ドル | 約146% |
暴落時に2倍に増額 | 4,800ドル | 約18,300ドル | 約281% |
この例からわかるように、暴落時に積立を中断した場合は最も成績が悪く、逆に増額した場合は最も良い結果となっています。
コロナショック時の積立投資
より最近の例として、2020年初頭のコロナショック時の日本株(TOPIX)の積立投資を見てみましょう。
投資行動 | 2020年1月~6月の投資総額 | 2023年末の評価額 | 増加率 |
---|---|---|---|
毎月3万円継続 | 18万円 | 約24.8万円 | 約38% |
3月に増額(+10万円) | 28万円 | 約40.2万円 | 約43% |
3-4月中断後再開 | 12万円 | 約15.3万円 | 約28% |
ここでも、暴落時(2020年3月)に増額した投資家が最も良いパフォーマンスを達成しています。逆に、恐怖から一時的に積立を中断した場合は、最も成績が悪くなっています。
よくある疑問と反論への回答

ここまでの説明に対して、新社会人の方々からよく出る質問とその回答をまとめておきます。
Q1: 「暴落がさらに続くかもしれない」という不安にはどう対処すべき?
A: 確かに、暴落が続くかどうかは誰にもわかりません。しかし、積立投資の強みは「完璧なタイミング」を必要としないことです。暴落が続けば、さらに安く買えるチャンスが続くということです。歴史的に見れば、どんな暴落からも市場は最終的に回復し、新たな高値を更新してきました。
Q2: 「暴落時に一括投資した方が良いのでは?」
A: 理論的には暴落時の一括投資が最も高いリターンをもたらす可能性がありますが、それには「底値」を正確に当てる必要があります。これは事実上不可能です。積立投資は「完璧なタイミング」を狙わなくても良い手法なのです。また、暴落時に心理的に大きな金額を投じるのは非常に難しいものです。
Q3: 「暴落で資産が半分になったら、回復するのに2倍になる必要がある。怖くないですか?」
A: 確かに50%の下落からの回復には100%の上昇が必要ですが、積立投資では下落局面でより多くの単位を購入できるため、回復に必要な上昇率は理論値よりも低くなります。さらに、長期的な市場の上昇トレンドを考えれば、継続的な積立によってこの問題は大きく緩和されます。
Q4: 「底値を狙うべきではないですか?」
A: 「底値」は常に後から振り返って初めてわかるものです。プロの投資家でさえ、底値を正確に予測することはできません。底値を狙うことは、「タイミング・ザ・マーケット」の一種であり、長期的には市場平均を下回るパフォーマンスにつながることが研究で示されています。
まとめ
今回は、なぜ積立投資家が市場暴落を恐れるのではなく、むしろ「友達」と考えられるのかをまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。その理由は主に以下の3点に集約されます。
- 数学の魔法:同じ金額で価格が下がるほど多くの単位を購入でき、平均取得単価が下がる
- 長期的視点: 将来のキャッシュフローを割安に買えるチャンスとなる
- 歴史的検証: 過去のデータから、暴落時に継続・増額した投資家が最も良い結果を得ている
新社会人の皆さんへのアドバイスとしては…
- 積立投資を自動化する(給料日に自動引き落とし)
- 暴落時の行動計画を事前に決めておく
- 投資先の価格変動をチェックする頻度を減らす
- 価格の下落ではなく、購入単位数の増加に注目する
投資の世界では、多くの人が恐れる状況こそが、実は最大のチャンスであることが少なくありません。暴落が「友達」になり得ることを理解し、感情ではなく、数学と論理に基づいた投資行動を心がけていただければと思います。
最後に、投資において最も重要なことは、自分自身の状況や目標に合わせた戦略を構築し、それを忍耐強く続けることです。他人の戦略をそのまま真似るのではなく、自分なりの「暴落友達作戦」を考えてみてください。