みなさまこんにちは、いちまるです(*’▽’)
高齢化社会が進む中、多くの方が親の介護費用について不安を抱えている世の中。。。
月に何万円、時には十万円を超える介護費用を支払っているのに、「これって税金の控除は受けられないの?」と疑問に思ったことはありませんか?
「介護費用がこんなにかかるなんて思わなかった」
「毎月の支出が家計を圧迫している」
といった声を頻繁に耳にします。
特に団塊の世代の方々が後期高齢者に差し掛かる現在、介護費用の問題は多くの家庭にとって切実な課題といえます。。。
今回は、介護と税金の関係について、初心者の方にもわかりやすく、そして実践的に活用していただけるようまとめてみました♪
介護費用で受けられる税制優遇は主に3つ
介護に関連して受けられる税制優遇は、大きく分けて以下の3つがあります。
1. 医療費控除
2. 扶養控除
3. 障害者控除
それぞれ詳しく見ていきましょう(*’▽’)
1. 医療費控除:介護費用の大部分が対象になる
医療費控除とは?
医療費控除は、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合、所得税や住民税が軽減される制度です。
多くの方は病院での治療費や薬代をイメージされますが、実は介護に関する費用の大部分もこの医療費控除の対象となることをご存知でしょうか?
この制度のポイントは、本人だけでなく生計を一にする家族全員の医療費を合算できることです!
つまり、ご両親の介護費用とご自身の医療費、配偶者やお子様の医療費をすべて合わせて計算することができるのです。
控除額の計算方法
医療費控除額 = 支払った医療費 - 保険金等の補填額 - 10万円(※)
※所得が200万円未満の場合は所得の5%
最大控除額:200万円
介護費用で医療費控除の対象となるもの
介護保険サービスの自己負担分や介護保険施設の居住費・食費は、基本的に医療費控除の対象となります。具体的には、訪問介護や通所介護(デイサービス)、訪問看護、特別養護老人ホームや介護老人保健施設での費用などがこれに当たります。
また、車椅子や介護ベッドなどの医療用器具の購入費用も対象です!
これらの器具は高額になることが多いため、控除効果も大きくなります。通院のための交通費も忘れがちですが、れっきとした医療費控除の対象です。電車やバスなどの公共交通機関の利用料金はもちろん、公共交通機関の利用が困難な場合のタクシー代も含まれます。
医師の証明書があるおむつ代についても控除対象となります。
要介護認定を受けている方であれば、市町村が発行する確認書でも医師の証明書の代わりとすることができるため、手続きが簡素化されています。
一方で注意が必要なのは、すべての介護関連費用が対象となるわけではないということです!
介護保険料そのものは社会保険料控除の対象であり、医療費控除ではありません。また、日常生活に必要な食費で医療に関連しないものや、介護のための家のリフォーム費用(手すりの設置やバリアフリー化など)は控除の対象外となります。
判断に迷う場合は、その費用が「治療や療養に直接関係するものか」を基準に考えると良いでしょう。
実際の計算例
田中さん(会社員)の場合
- 年収:500万円
- 1年間の介護費用:80万円
- 保険からの給付:20万円
医療費控除額 = 80万円 - 20万円 - 10万円 = 50万円
所得税軽減額(税率10%の場合)= 50万円 × 10% = 5万円
住民税軽減額 = 50万円 × 10% = 5万円
合計軽減額 = 10万円
2. 扶養控除:親を扶養に入れて節税
多くの方が見落としがちなのが、親を扶養に入れることによる節税効果です。
「親は年金をもらっているから扶養には入れられない」と思い込んでいる方が多いのですが、実際には年金収入があっても扶養に入れられるケースが数多くあります。
扶養控除は、納税者が扶養親族を養っている場合に受けられる所得控除です。
親の介護をしながら経済的に支援している場合、この制度を活用しない手はありません。特に同居している場合の控除額は大きく、大幅な節税効果が期待できます。
扶養控除の条件
親を扶養に入れるには、年間所得が48万円以下であることが基本条件です。
年金のみで生活している場合、65歳以上なら年額158万円以下が目安となります。また、生計を一にしていることと、他の人の扶養に入っていないことも必要な条件です。
ここで重要なのは「生計を一にしている」という条件の解釈です。
必ずしも同居している必要はなく、別居していても定期的に生活費を送金していれば、この条件を満たすことができます。例えば、遠方に住む親に毎月仕送りをしている場合や、介護施設の費用を負担している場合なども該当します。
年金収入については、多くの方が誤解されています。
厚生年金や国民年金などの公的年金は、65歳以上の場合110万円の基礎控除があるため、年金収入が158万円以下であれば所得は48万円以下となり、扶養の対象となるのです。
控除額
一般の扶養控除は70歳未満で38万円、70歳以上の老人扶養控除は48万円となります。さらに70歳以上で同居している場合は、同居老親等特別控除として58万円の控除を受けることができます。
節税効果の例
山田さんの場合(所得税率20%)
- 70歳の母親を同居扶養に入れた場合
- 所得税軽減額:58万円 × 20% = 11.6万円
- 住民税軽減額:58万円 × 10% = 5.8万円
- 年間節税額:17.4万円
この例では年間17.4万円もの節税効果があります。10年間続けば174万円という大きな差になります。介護期間が長期にわたることを考えると、この効果は非常に大きいと言えるでしょう。
さらに重要なことは、扶養控除は毎年継続して受けることができることです。一度手続きを行えば、条件を満たしている限り毎年この控除を受け続けることができるのです。
3. 障害者控除:要介護認定でも適用可能
障害者控除は、多くの方が「障害者手帳がないと受けられない」と誤解されている制度です。
しかし実際には、障害者手帳を持っていなくても、要介護認定を受けている場合に市町村の判定により障害者控除を受けられる可能性があります!
この制度は平成15年から始まったにも関わらず、まだまだ認知度が低く、活用されていないのが現状です。。。要介護3以上の認定を受けている方の多くが対象となる可能性がありますが、実際に申請している方は非常に少ないのが実情です。
自治体によって判定基準は多少異なりますが、要介護度が高い方、認知症の症状がある方、身体機能が著しく低下している方などが対象となることが多いです。申請は無料で、認定されれば大きな節税効果を得ることができます。
控除額
一般の障害者控除は27万円、特別障害者控除は40万円となります。特別障害者と同居している場合は、同居特別障害者控除として75万円の控除を受けることができます。
申請方法
障害者控除を受けるには、まず居住する市町村の高齢者福祉担当部署に相談しましょう!
そこで「障害者控除対象者認定書」の交付申請を行い、交付された認定書を確定申告時に添付することで控除を受けることができます。
申請に必要なのは、要介護認定書のコピーと申請書のみというケースがほとんどです。手続きは思っているよりも簡単で、認定までの期間も通常1〜2週間程度です。申請は本人だけでなく、家族が代理で行うことも可能です。
重要なのは、過去に遡って申請することも可能だということです。
多くの自治体では、過去5年分まで遡って認定書を発行してくれます。つまり、今まで知らずに申告していなかった分についても、修正申告や更正の請求により税金の還付を受けることができる可能性があります。
知っておきたいポイントとコツ
領収書の保管は必須
医療費控除を受けるためには、必ず領収書の保管が必要です。
月別にファイリングしたり、家族分をまとめて管理するなど、整理しやすい方法で保管しましょう。交通費については、日付・区間・金額をメモしておくことも大切です。
介護が始まると、領収書の量は想像以上に多くなります。
デイサービスの利用料、訪問介護の費用、医療機関での支払い、薬代、介護用品の購入費など、月に数十枚の領収書が発生することも珍しくありません。
おすすめの整理方法は、月ごとに封筒やクリアファイルに分けて保管することです。
スマートフォンのアプリで写真を撮って記録する方法もありますが、確定申告時には原本が必要になる場合があるため、原本は必ず保管しておきましょう。
家族全員分をまとめて申告
医療費控除は、生計を一にする家族全員分をまとめて、最も税率の高い方が申告することで節税効果が最大化されます。
例えば、夫の所得税率が20%、妻の所得税率が10%の場合、夫が申告することで節税額は2倍になります。共働き夫婦の場合は特に、どちらが申告するのが有利かを毎年検討することが大切です。
また、医療費控除は所得の高い人が申告する一方で、扶養控除は所得の低い人でも同様の効果を得られます。このような制度の特徴を理解して、家族全体で最も有利になる申告方法を検討しましょう。
e-Taxなら簡単申告
令和3年分から、医療費控除の明細書をe-Taxで送信する場合、領収書の提出が不要になりました(5年間の保存は必要)。
e-Taxを利用すれば、自宅にいながら24時間いつでも申告できます。
介護で忙しい方にとって、税務署に出向く時間を節約できるのは大きなメリットです。また、還付金の振り込みも通常の申告より早く行われます。
初回の設定は少し手間がかかりますが、一度設定してしまえば翌年以降は非常に便利です。
マイナンバーカードとICカードリーダーがあれば、より簡単に利用できます!
よくある質問
Q: 遠距離介護でも扶養控除は受けられる?
A: 仕送りなどで生計を支えていれば、別居でも扶養控除を受けられます。
Q: 介護保険料は控除対象?
A: 介護保険料は社会保険料控除の対象です(医療費控除ではありません)。
Q: 兄弟で介護費用を分担している場合は?
A: 実際に支払った人がそれぞれ医療費控除を受けることができます。
まとめ
介護と税金の関係について、初心者の方にもわかりやすく、そして実践的に活用していただけるようまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
介護費用による税制優遇を正しく活用すれば、年間数十万円の節税効果を得ることも可能です。
これらの制度を知っているかどうかで、介護期間中の家計負担は大きく変わります。介護関連の領収書はすべて保管し、親の所得を確認して扶養控除の可能性を検討してみてください。要介護認定があれば障害者控除の認定書も申請でき、これらは確定申告で適切に申告することで効果を発揮します。
最も重要なポイントは、医療費控除は家族全員分をまとめて申告すること、扶養控除と障害者控除は併用可能であること、そして適用要件をしっかり確認することです。日頃から領収書の保管も忘れずに行いましょう。
介護は長期にわたることが多く、その費用負担は家計に大きな影響を与えます。しかし、介護は突然始まることが多いため、制度を知らないまま負担だけが重くなってしまうケースが後を絶ちません。この記事を読んでいただいた今が、制度を活用し始める絶好のタイミングです。
また、これらの制度は毎年継続して利用できるものがほとんどです。一度手続きを覚えてしまえば、翌年以降はスムーズに申告できるようになります。最初は少し面倒に感じるかもしれませんが、その効果を実感すれば、きっと「もっと早く知りたかった」と思われることでしょう。
これらの制度を活用することで、少しでも負担を軽減し、安心して介護に向き合えるようになることを願っています。介護は家族にとって大きな課題ですが、経済的な不安を少しでも軽減することで、より良いケアを提供できる環境を整えることができるはずです。
税務に関する詳細や個別のケースについては、税務署や税理士にご相談することをお勧めします。特に複雑なケースや高額な控除が期待できる場合は、専門家のアドバイスを受けることで、より確実で効果的な申告を行うことができます。
